煩いと患い 3
命日が2012年11/27だった。次の日にお通夜で
その次の日の11/29にお葬式だった。
私の誕生日だった。
お通夜の時に親戚がきて泣いてる人も沢山いたし、大人はいろいろ話し合ってた。
お通夜のことはあまり覚えていない。
ずっと部屋に篭ってた。
日本にいる韓国の親戚もきて、お母さんといろいろ話してた。お母さんは泣いていて、親戚はお母さんを責めてるようにみえた。
私は何もしなかった。できなかった。
起きた出来事に対して目まぐるしく動く大人に14歳の私は無力を痛感した。
お父さんが死んだ日の夜に、お父さんの夢を見た。
私は、私の部屋で寝ていて右手の窓の外にお父さんが立っていた。
びっくりして飛び起きた。すごくリアルだったから。
「お父さん!お父さん!!なんで!?なんで!!?」
「ごめんなぁ」
夢の中で、お父さんは謝った。
「俺、いま若い時のまんまやねん」
それだけ言って窓に背を向けて何処かに行った。私は引き止められなかった。
窓から手を伸ばして、手に触れた鉄格子がとても冷たく感じられた。
起きてお母さんとおばあちゃんの顔を見たとき
号泣した。
今まで考えてきてたこととか、心の中にしまっていたものとかがぐわぁ〜って溢れてきて止まらなかった。
私は一旦親戚の家に行って、その近くでお葬式が行われた。
お葬式の日に、私は泣かなかった。
本当は泣きたかった。
でも泣かなかった。
私の横で倒れるように、顔をぐちゃぐちゃにしてるお母さんを見て泣けなくなってしまった。
子供ながらに「しっかりしないと」と思った。
挨拶に来るお父さんの知り合いや親戚に1人1人私は頭を下げた。
私のお焼香の番になって、灰をつまんでパラパラと落とした。いろんなものが落ちていく気がした。
棺桶の中に入ったお父さんをまじまじと見た。
顔色が良くて寝てるみたいだった。
顔が出てたのでほんとの、ほんとの最期のお父さんを触った。
びっくりするくらい冷たかった。
冷凍庫の中に入ってる冷凍食品のハンバーグみたいに冷たかった。
死んだ。そのことを実感した。
そこから先のことはあんまり覚えていない。